さて、もう一度おさらいしますが、勃起とは心理的・物理的な刺激によって陰茎に血液が流れ込むことによって起きます。つまり、正常な勃起には、神経が非常に重要な役目を担っているということです。
この神経には脳を含む中枢神経と、脳と末梢をつなぐ脊髄神経、身体全体に広がる末梢神経があります。性的刺激を受けた脳は、これらの神経を介してその情報を陰茎に送り、そして勃起が起こるのです。つまり、いずれかの神経が障害を受けていると、その情報伝達がうまくいかず、EDの原因になるというわけなのです。
脳出血、脳腫瘍、脳外傷、パーキンソン病、アルツハイマー病などの疾患は自律神経障害を引き起こすため、EDの原因になり得るといえます。
前立腺がんや膀胱がん、直腸がんなどの骨盤内の悪性腫瘍の摘出手術では、勃起に必要な神経を損傷する可能性があるのです。以前のがん手術においては再発防止のためにできるだけ多くの部分を取り除く手術が行われていたため、そのリスクも高かったのです。しかし今では、術後の生活を重視し、勃起機能を残すための手術法をとる医師が多くみられるようです。いずれにしよ、手術前には医師との十分な話し合いをもつことが大切です。
また、交通事故などによる骨盤骨折や脊椎損傷など、つまり外傷によるEDも考えられます。その場合、麻痺や神経反射機能の程度によっては回復に時間を要するものの治癒する場合もあります。
前立腺肥大症や前立腺炎、清掃静脈瘤などの泌尿器科系の疾患もEDの原因になる場合があります。排尿状態が悪いことなどからの心理的影響がEDを引き起こすこともあるようですし、治療薬を原因とするEDもあるようです。
また、慢性腎不全や血液透析を受けることにより、ホルモンの変化や全身の動脈硬化・神経障害の進行によりEDを引き起こすことも。そのほか、椎間板ヘルニア、脊髄腫瘍、多発性硬化症などの疾患ほか、EDの原因になり得る疾患は実にさまざまに考えられるのです。